■食品流通がメーカーに求めている事を考える
先日、新製品の販路拡大が思う様に行かずに悩まれているという食品メーカー様がありました。食品メーカーですので、商談(販売先)は食品流通(GMS、食品スーパーなど)もしくは、食品卸です。
要は売り先である食品流通、食品卸の求めている事がよく分からないという事なのですが、どこに問題があったのでしょうか?
結論を先に申し上げますと、食品流通が求めているのはメーカー様が苦労して作り上げた商品の紹介ではなく、グロッサリーのバイヤーならその商品がグロッサリー売場全体の売上にどの様に貢献できるのか?という事にしか関心がありません。
もっと言うならばバイヤーは生鮮3品の売上拡大にどの様に関連、貢献してくれるのか?と頭の中で考えています。
バイヤーは、いくらメーカーが自社商品の素晴らしい特長、美味しい、健康に良い、減塩などをアピールしても全く関心がありません。
バイヤーが考えている事は自店舗の売上を伸ばすことであって、メーカーの商品を売る事ではないからです。
ですので、どのメーカーの商品が売れようが売れまいが自店舗の売場が好調なら特に問題はない訳です。
そのことを理解しないでいると、なぜこのバイヤーは自社商品の良さを理解してくれないのだろう?となる訳です。
■バイヤーが興味を示す提案とは?
では、食品流通のバイヤーへの提案はどの様にすればよいのでしょうか?
食品流通のバイヤーへの提案はメーカー側が自社商品の特長を熱弁するのではなく、バイヤーが担当している売場の売上拡大に自社商品がどの様に貢献可能なのかをまとめた提案である必要があるという事になります。
例えば、減塩で健康に良い商品という紹介ではなく、減塩ですので今まで塩分を気にされていたお客様が当社の商品との組み合わせで〇〇の商品を買いやすくなります。そうすると生鮮3品の〇〇との連動が企画可能です。という様な具合です。
つまり、自社商品の説明だけではなく、自社商品のカテゴリー全体の拡販施策になっていることが必要なのです。
■食品流通への商談で必要な資料
そして、その中で次の2点を抑える事が必要になります。
1点目は、その提案で売上がアップする証明となるデータ(調査の結果や他流通での販売実績など)です。
2点目は、その提案の中で自社商品がどの様な役割を果たすかを明記します。自社商品に役割がなければ採用に至りませんので、こちらも必須になります。
詳細をご説明すると、1点目は小さな流通様の成功事例でも、ネット販売の成功事例でも、エンドユーザーの意識調査でも構いませんが、食品流通様のお客様であるエンドユーザー(私たち自身でもあります)のニーズ(真意)にどの様に応える商品なのかと、その販売実績もしくは予測に関連するデータになります。
2点目は、自社商品がそのカテゴリーの中で全体の売上アップに貢献する機能があるのかの説明になります。
ある昆布メーカー様の新商品事例は次の様なものです。
タイトルは「おにぎりの具材を楽しもう!運動会でお弁当を楽しく食べよう!!」として、昆布の新商品を「おにぎりの具材」として訴求しています。
一般的なおにぎりの具材やふりかけなどのコーナーの拡販企画として、他の具材とのシナジーにも言及しながら、自社商品の役割を語りました。データはエンドユーザーの意識調査を添付しています。
■食品流通のバイヤーの相談相手になるには?
多忙な食品流通のバイヤーが話を聞いてくれるパターンは、自社商品の売り込みではなく、自社商品を含む売場全体の拡販施策です。
自社商品の説明に関しては、その中で果たす役割を担える証明としてするに過ぎません。
また大手のバイヤーは、その提案で売上がアップする証明データ(調査の結果や他流通での販売実績など)を求めてきます。
食品卸への営業も同様で、流通のバイヤーの求めるものが上記の様な内容ですので、流通のバイヤーへ商談に行く食品卸の営業マンが求めるものを提供できれば自社商品を売ってくれ易くなります。
この過程は手間暇がかかるのとノウハウも必要ですが、流通のバイヤーの求めるものが提案できれば、単なる取引先ではなく御社はバイヤーのパートナーになれます。
逆に提案がなければ、価格だけメールしておいて下さいとなり、商談時間さえもらえなくなります。
この様に相手先が求めている事を捉えて、商談資料や販促ツールを少し整えれば新規開拓、販路開拓は驚くほどスムーズになります。
新規開拓、販路拡大が進まない場合は、そもそも相手の求めている事(ニーズ)を把握していないのかもしれません。その視点で自社の状況を一度、確認されてみてはいかがでしょうか?
とは言え、この様な自社商品を真ん中に据えて売場全体を考えた販促施策の企画構築やデータ収集には一定のノウハウが必要なのも事実です。
営業改善では流通視点でのメーカー販促企画に関してもサポートさせて頂いております。より具体的なサポートが必要な場合はご相談ください。
「営業改善」代表:黒田昭彦
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