出来る営業マンと普通の営業マンがいる様に、どの企業でも目標を達成するチームと未達チームがあるものです。経営者としては、対策を打ちたいものの有効な策がなかなか見つからず悩ましい所ではないでしょうか?
今回は目標を達成するチームと未達チームの違いを比較しながら、売れるチームになる為のチームマネジメントの勘所を探ってまいります。
■目標を達成するチームと未達チームは何が違うのか?
営業チームを運営する中間管理職であるマネージャーは二つの役割を担っています。ひとつは数字を作る役割。もうひとつは部下を育成する役割です。
つまり、育てながら数字を作るという2つの目標を同時に達成する任務を負っています。
ただ、この2つの目標を同時に達成することはそう簡単ではありません。プロスポーツのチームでも育てながら勝て!と言われるものの、多くの場合で結果を出せずに監督が交代する事でも明らかです。
マネージャーは、営業マン個人としては数字を出した実績もあり優秀な方が多いという印象ですが、マネージャーとしてマネジメント教育をしっかりと受けているという方は逆に少ないのではないでしょうか。
では、どうすれば数字と教育が両立するマネジメントが出来るのかについて、まず事例をご紹介したいと思います。
ある広告代理店の営業部の事例
ある広告代理店の営業部にはいくつかの営業チームがありました。
チームは新規開拓チームや既存深耕チームに分かれている訳ではなく、新規と既存を両方持つバランス型のチームが同じ様な目標を追いかけていました。
ただ、結果はチームごとに目標を達成しているチームと未達チームにはっきりと分かれていました。
一体何が原因だったのでしょうか?
結論から申し上げると、チームリーダーであるマネージャーと部下であるチームメンバーのコミュニケーションの質と量が明暗を分けていました。
目標を達成しているチームはチームリーダーであるマネージャーと部下であるチームメンバーとのコミュニケーションが密で毎日、業務に関して報告・連絡・相談を行っていました。
毎日、報告・連絡・相談を行い、コミュニケーションを取っていますので、チームメンバーが自分の力量で超えられない壁にぶつかった時でも、すぐさまチームリーダーが一緒にその壁を越えるための対策を考える体制が整っていました。
つまり、チームメンバーは目標に向かって自分の力量で越えられない壁にぶつかった時でも、そこにとどまる事なく目標に向かってスムーズに行動が出来たのです。
一方、未達のチームはチームリーダーであるマネージャーと部下であるチームメンバーのコミュニケーションがあまりありませんでした。コミュニケーションがないというよりも行動に関して部下にお任せになっており、チームリーダーは自分の数字を追いかける事に熱心になっており、部下の数字に対しては結果だけを聞いてまとめるという状況になっていました。
こうなると先程の目標を達成するチームとは全く逆の状況になり、チームメンバーが自分の力量で越えられない壁にぶつかった時には、その業務は長期間滞ることとなりました。結果、受注という目標に到達できない事が多くなり、数字が未達となったのです。
これは広告業界特有の現象なのでしょうか?
私がコンサルティングさせて頂いた貿易商社でも営業部にはいくつかのチームがあり、やはり目標を達成するチームと未達のチームに分かれていました。
目標を達成している女性課長のチームは女性課長が非常にコミュニケーションを取ることが好きでお世話好きな方でしたが、部下とよく世間話をしたりランチを一緒に取った際にも自分の事をどんどん開示して、喋りながら部下の事にも耳を傾けて部下の状況を把握していました。
この様にお互い知っている状況になると何でも話しやすい心理的安全性というものが構築されて、業務に仕えた際でも報告・連絡・相談をしやすい状況になります。また、毎日密にコミュニケーションしていますので部下の状態が普段と違えば、すぐに気づける様にもなっていた為、部下が壁にぶつかった際でもすぐに手を打つことが出来たという訳です。
この様な事例は他にもあります。
ある銀行の支店長でどの支店に赴任しても必ず業績を向上させる優秀な支店長がいました。
この支店長がどの支店に赴任してもやっていた事はたった一つなのですが、一体それは何だと思われるでしょうか?
この支店長は、どこの支店に行っても必ずその支店の行員全員と会話を行っていました。
幹部だけではなく全員です。全員と話すことによって、その支店がどういう状況にあり何が課題で行員はどの様なモチベーションなのかまで全て把握できていたという訳です。
課題を把握することが出来れば、改善はもう半分達成した様なものです。後はそれに対してひとつひとつ手を打っていくだけです。そして、手を打っていくとメンバーからは今度の上司は口だけでなく行動してくれるという信頼感が生まれ、好循環が回って行くという訳です。
この様にコミュニケーションの重要性、業績向上との関連性は各方面で証明されています。
Google が提唱している心理的安全性、自動車のホンダが提唱しているワイガヤ、風通しが良いなどという言葉もコミュニケーションの重要性を端的に表していると言えるでしょう。
■なぜ多くの企業でコミュニケーションがうまくいかないのか?
上述のように業績向上させるチームマネジメントにおいて、コミュニケーションの重要性を申し上げてきました。
ただ、コミュニケーションの重要性は特に目新しい話ではありません。皆様も一度や二度は聞いた事があるお話なのではないでしょうか。
では、なぜ多くの企業でコミュニケーションはうまく行っていないのでしょうか?
コミュニケーションの内容
皆様の会社で、管理職であるマネージャーと部下であるチームメンバーが業務の報告・連絡・相談を行う際に、それは案件に対する行動の結果に関してでしょうか、それとも予定に関してでしょうか?
圧倒的に行動の結果に対してマネジメントしているのではないでしょうか?
例えば、業務管理のツール、日報やSFAに記入、入力する内容を見ても行動の結果が多いのではないでしょうか。
実は、ここが最大のポイントなのですが、結果に対するマネジメントはネガティブになりがちで、うまく行かない事が多いのです。
なぜでしょうか?
結果に対する報告・連絡・相談を受けた際の指導教育は、指導教育と言いながら「なぜ、そうなったのか?」と詰問や叱責になりがちでネガティブな方向へ向かってしまいがちです。
結果が良ければ別ですが、結果はいつも良いわけではありません。
むしろ、指導教育を受けるべきは良くない結果に対する対処になります。ところが、その対策に入る前に報告を受けた時点で詰問・叱責のような状況が起こってしまうので、上司と部下のコミュニケーションがうまく行かなくなってしまうのです。
当たり前ですが、詰問・叱責を気持ちよく受ける事が出来る人はいません。結果、部下であるチームメンバーは上司であるマネージャーに対して報告・連絡・相談が滞りがちになってしまいます。
■マネジメント・部下への指導教育を有効にする方法
マネジメントがうまくいかない理由は結果に対する報告・連絡・相談が、詰問・叱責になりがちでネガティブになってしまうからというお話をしました。
では、一体どうすれば良いのでしょうか?
業務の報告・連絡・相談は、結果ではなくその逆の未来、これからの行動予定であれば、その指導・教育は作戦会議になりポジティブな状況が生まれます。
結果に対する報告・連絡・相談の場合、その結果に対する責任の所在は報告する部下の側にあります。しかし、未来である予定(これからの行動)に対する責任の所在は誰にもありません。
また、予定に対してマネージャーに相談していた場合、例えその結果が良くなかった場合でも部下に責任はありません。
なぜなら事前にマネージャーに相談していたので、その行動の責任はマネージャーの側にあるからです。
そうすると結果に対する報告は、部下側からは大変やりやすくなります。
なぜなら、自分に責任はないからです。逆にマネージャーからすれば、うまく行かなかった行動を許可した責任がありますので、結果に対してリカバリーする作戦を再度、考える責任が発生する訳です。
先に結果が良くなかった場合を書きましたが、多くの場合では部下の業務行動の成功率は高まります。
なぜなら、今までは乏しい業務経験しかない部下が自分の経験をベースに考え行動していたのが、経験が豊富なマネージャーと相談する事で、より精度の高い行動を取ることが出来るからです。
そうすると部下の方でも数字が付いてきますので、仕事が面白くなってきます。仕事が面白くなれば部下の行動は能動的になり、好循環は加速して行きます。
■予定をマネジメントする重要性
予定をマネジメントして、これからの行動に教育を施せば自ずと結果は出やすくなります。予定を上司とはあらかじめ確認しておけば結果が良ければもちろん、結果が良くなくても報告はしやすくなります。予め、予定に同意している上司はその通りに行動した部下を責めることは出来ません。
そうなると、報告・連絡・相談は活発化されてPDCAが回り出します。どの企業でも目標としながら、なかなか出来ないPDCA が回り出すのです!
結果ではなく、予定をマネジメントする仕組みを作れば「育てながら数字を作る」が実現して、御社の業績は向上して行きます。
ぜひ、予定をマネジメントする仕組みを営業管理職の方へ導入して、明るい未来「業績向上」を手に入れてください!
「営業改善」代表:黒田昭彦
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