仕事をしていると、
「ここも直した方がいいかな」
「もう少し見た目を整えた方がいいかな」
「念のため、この情報も入れておこうかな」
と、少しずつ手を加えてしまいたくなることがあります。
もちろん、丁寧に仕事をすることは大切です。
しかし、この良かれと思ってする“もう少し”が積み重なると、気づかないうちに大きな時間を使ってしまいます。
仕事が終わらない、残業が多い人は、
仕事が遅いのではなく、
仕事の合格ラインを決めずに始めていることがあります。
真面目な人ほど、仕事をやり過ぎてしまう
「せっかくなら、もっと良くしたい」
「相手に失礼がないようにしたい」
「上司に指摘されないように、念のため整えておきたい」
このように考える人ほど、仕事の完成度を上げようとします。
しかし、すべての仕事に100点を目指していると、時間はいくらあっても足りません。
たとえば、社内確認用の資料なのに、提案書レベルまで整えてしまう。
上司に方向性を確認するだけなのに、細部まで作り込んでしまう。
簡単な報告メールなのに、何度も文章を直してしまう。
こうしたことが続くと、本人は一生懸命仕事をしているのに、結果として仕事が終わらなくなります。
問題は「手を抜くこと」ではない
ここで誤解してはいけないのは、仕事を雑にすればいいという話ではないということです。
大切なのは、手を抜くことではありません。
その仕事に必要な合格ラインを先に決めることです。
仕事には、それぞれ目的があります。
・上司に方向性を確認するための資料
・お客様に提案するための資料
・社内で情報共有するためのメール
・意思決定をしてもらうための報告書
・次の商談につなげるための見積書
目的が違えば、必要な完成度も変わります。
社内確認用なら、きれいなデザインよりも論点が整理されていることが大事です。
お客様向けなら、見た目や伝わりやすさも重要になります。
短い報告メールなら、完璧な文章よりも、早く共有することの方が価値があります。
つまり、仕事の質は「高ければ高いほど良い」のではなく、
目的に対して必要十分であることが大切なのです。
始める前に「どこまでやればOKか」を確認する
残業を減らすためには、仕事に取りかかる前に、次の3つを確認しておくことが大切です。
1. 誰に提出する仕事なのか
上司が見るのか。
お客様が見るのか。
社内メンバーが見るのか。
提出する相手によって、必要な丁寧さは変わります。
2. 何のために使う仕事なのか
方向性確認なのか。
意思決定なのか。
正式な提出物なのか。
情報共有なのか。
目的が分かれば、必要な作り込みの程度も見えてきます。
3. どの状態なら合格なのか
たたき台でよいのか。
数字が入っていればよいのか。
見た目まで整える必要があるのか。
誤字脱字まで確認した完成版が必要なのか。
この合格ラインが曖昧なまま始めると、自分の判断だけでどんどん作り込んでしまいます。
その結果、必要以上に時間を使ってしまうのです。
「できればやった方がいい」は、残業の原因になる
仕事には、
「絶対に必要なこと」
「やった方がよいこと」
「できればやった方がよいこと」
があります。
残業が増えやすい人は、この3つを分けずに、全部やろうとしてしまいます。
もちろん、時間が十分にあれば、できる限り良いものを作ればよいでしょう。
しかし、現実の仕事には、他にもやるべきことがあります。
ひとつの仕事に時間をかけ過ぎると、別の重要な仕事が後ろにずれていきます。
そして、気づけば夕方になり、残業で取り戻すことになります。
だからこそ、仕事を始める前に、
「今回はどこまでやれば合格か」
を決めておく必要があります。
15分単位で考えると、やり過ぎに気づきやすい
仕事の合格ラインを決めるうえで役立つのが、時間を15分単位で考えることです。
たとえば、資料作成に2時間使うと決めている場合なら、
15分単位で見ると、8マス分の時間を使っていることになります。
その8マスの中で、
・構成を考える
・必要な情報を集める
・1枚目を作る
・全体を整える
・確認する
というように分けて考えると、どこに時間を使い過ぎているかが見えてきます。
「見た目を整えるだけで、もう30分使っている」
「確認資料なのに、提案書のように作り込んでいる」
「本来は方向性確認なのに、完成版を目指している」
このように、自分の時間の使い方に気づけるようになります。
仕事が早い人は、最初に“合格ライン”を決めている
仕事が早い人は、単に作業スピードが速いわけではありません。
仕事を始める前に、
「この仕事は、どの状態までいけば合格」かを確認しています
を決めています。
だから、必要以上に迷いません。
必要以上に直しません。
必要以上に抱え込みません。
反対に、合格ラインを決めずに始めると、どこまでやっても不安が残ります。
「もう少しやった方がいいかもしれない」
「ここも直した方がいいかもしれない」
「念のため、これも入れておこう」
この不安が、仕事を長引かせてしまうのです。
残業を減らす第一歩は、仕事の前に合格ラインを決めること
残業を減らすために必要なのは、気合いでも根性でもありません。
仕事を始める前に、
何を、どこまで、何分で行うのか
を決めることです。
そのためには、仕事を見える化し、時間の使い方を整える必要があります。
私の著書『15分スケジュール すぐに成果を出す人の時間術』では、
1日を15分単位で捉え、予定を見える化しながら、成果と時短を両立する考え方を紹介しています。
「頑張っているのに仕事が終わらない」
「丁寧にやっているのに、いつも時間が足りない」
「残業を減らしたいのに、仕事の終わりが見えない」
そのように感じている方は、まずは自分の仕事の合格ラインを決めるところから始めてみてください。
時間の使い方が変わると、仕事の進め方も変わります。
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という方に、ぜひ手に取っていただきたい内容です。

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