仕事のストレスを減らす「時間見積り」の考え方
「今日こそは定時で帰ろう」
そう思って仕事を始めたのに、気づけば予定よりも時間が押している。
午前中に終わるはずだった資料作成が、午後までかかってしまう。
30分で済むと思っていたメール対応に、思った以上に時間を取られる。
少し遅れただけのつもりが、夕方にはすべての予定がずれている。
このような経験は、多くの方にあるのではないでしょうか。
仕事は、予定通りに進まないことがあります。
急な依頼が入ることもあります。
電話やメールで中断されることもあります。
会議が長引くこともあります。
しかし、本当に困るのは、予定通りに進まなかったこと自体ではありません。
困るのは、予定が崩れた瞬間から、
「今日の仕事がいつ終わるのか分からなくなること」です。
終わりが見えなくなると、不安になります。
不安になると焦ります。
焦ると判断が雑になり、ミスも増えます。
そして最後は、残業で取り返すしかなくなります。
つまり、予定通りに行かないことの本当の問題は、
単なる時間の遅れではなく、
仕事のストレスが一気に増えることなのです。
著書『15分スケジュール すぐに成果を出す人の時間術』では、
TODOリストに時間見積りをつけ、15分単位でスケジュールに落とし込むことで、仕事量を「見える化」する考え方を紹介しています。
時短の第一歩は、単に作業スピードを上げることではありません。
まずは、
自分の仕事にどれくらい時間がかかるのかを正しく知ることです。
TODOリストだけでは、仕事の重さは分からない
多くの人は、仕事を整理するためにTODOリストを使います。
たとえば、次のようなリストです。
・資料作成
・見積り作成
・メール返信
・会議準備
・日報作成
一見すると、やるべきことが整理されているように見えます。
しかし、TODOリストには大きな弱点があります。
それは、
仕事の数は見えても、仕事の重さが見えにくい
ということです。
「資料作成」と一言で書いても、30分で終わる資料もあれば、2時間かかる資料もあります。
「メール返信」も、すぐに返せるものもあれば、確認が必要で時間がかかるものもあります。
「見積り作成」も、単価確認や仕様確認が必要であれば、想像以上に時間を使います。
つまり、TODOリストだけを見ていると、
「今日は5つやればいい」
と思ってしまいます。
しかし本当に大切なのは、
その5つの仕事が、今日の勤務時間の中に収まるかどうかです。
仕事を終わらせるためには、やることを書き出すだけでは足りません。
それぞれの仕事に、必要な時間をつけることが必要です。
「今日やること×時間見積り」で終了時間が見えてくる
仕事のストレスを減らすために、まず行いたいのが、
今日やることに時間見積りをつけることです。
たとえば、次のように考えます。
・資料作成:60分
・見積り作成:45分
・メール返信:30分
・会議準備:30分
・日報作成:15分
このように時間をつけると、今日の仕事量が具体的に見えてきます。
さらに、会議、商談、移動、昼休みなど、すでに動かせない予定も加えます。
すると、次のことが判断できるようになります。
・今日は定時内に収まるのか
・どれくらい時間が足りないのか
・どの仕事を明日に回すべきか
・どの仕事の完成度を調整すべきか
・どこで上司や関係者に相談すべきか
これが、仕事の不安を減らすうえで非常に重要です。
人は、仕事が多いから不安になるだけではありません。
終わる時間が見えないから不安になるのです。
逆に言えば、終了時間が見えていれば、落ち着いて判断できます。
「今日はこのままだと30分足りない」
「この仕事は明日に回せば定時に収まる」
「この資料は今日は70%の完成度で提出し、明日仕上げればよい」
このように、時間が見えると、仕事に振り回されにくくなります。
予定が崩れる原因は、能力不足ではなく「見積り不足」
予定通りに仕事が進まないと、
「自分は仕事が遅いのではないか」
「段取りが悪いのではないか」
と思ってしまうことがあります。
しかし、必ずしも能力不足が原因とは限りません。
実は、予定が崩れる原因として多いのが、
最初の時間見積りが甘い
というケースです。
たとえば、資料作成を1時間と見積もっていたとします。
しかし実際には、資料を作るまでに次のような作業が必要です。
・情報を探す
・構成を考える
・過去資料を確認する
・数字を確認する
・上司に相談する
・見た目を整える
・修正する
ここまで含めると、1時間では終わらないかもしれません。
それにもかかわらず、
「資料作成=1時間」
と大ざっぱに見積もってしまうと、予定は最初から無理のあるものになります。
仕事が遅れているのではなく、
その仕事に必要な工程を、時間として正しく読めていなかった
だけかもしれないのです。
時短を考える時、多くの人は「もっと早く作業する方法」を探します。
もちろん、作業スピードを上げることも大切です。
しかし、その前に必要なのは、
その仕事には本当は何分かかるのかを知ることです。
これが分からないままでは、どれだけ頑張っても予定は崩れやすくなります。
時間見積りのズレは、改善のヒントになる
最初から正確に時間を見積もる必要はありません。
むしろ、最初はズレるのが普通です。
大切なのは、ズレたことを失敗と考えないことです。
予定では45分だった仕事が、実際には75分かかった。
予定では30分だった確認作業が、実際には60分かかった。
予定では1時間だった資料作成が、実際には2時間かかった。
このズレは、自分を責める材料ではありません。
むしろ、
自分の仕事のクセを知るためのデータ
です。
たとえば、毎回資料作成が予定より長引くなら、資料作成そのものではなく、情報収集の時間を見積もっていないのかもしれません。
毎回見積り作成が長引くなら、単価確認や仕様確認に時間がかかっているのかもしれません。
毎回メール対応が長引くなら、返信前に確認すべきことが多すぎるのかもしれません。
このように、予定と結果を比べることで、
「どこに時間がかかっているのか」
「何を改善すればよいのか」
が見えてきます。
『15分スケジュール すぐに成果を出す人の時間術』では、予定と結果を記録し、そのギャップを振り返ることで、時間見積りの精度を上げていく考え方を紹介しています。
時間見積りは、才能ではありません。
記録して、比べて、修正すれば、誰でも少しずつ上達していきます。
「多めに時間を取る」だけでは、時短にはならない
時間見積りが外れると、
「では、最初から多めに時間を取ればいい」
と思うかもしれません。
もちろん、余白時間は必要です。
しかし、すべての仕事を単純に1.2倍、1.5倍で見積もると、今度は仕事そのものが膨らんでしまいます。
45分で終わる仕事に60分を確保すると、細かな修正を始めて、結局60分使ってしまう。
1時間で十分な資料に90分を確保すると、必要以上に作り込んでしまう。
これでは、時間見積りの精度は上がりません。
大切なのは、
仕事そのものにかかる時間と、予定がズレた時の余白時間を分けること
です。
たとえば、
「この仕事は45分」
「その後に15分の余白を持つ」
このように分けて考えます。
仕事時間を曖昧に増やすのではなく、仕事時間は正確に見積もる。
そのうえで、予定が崩れた時のために余白を持つ。
この考え方を持つと、仕事の時間感覚が整っていきます。
予定が崩れても、立て直せる人になる
予定通りに行かないことは、必ずあります。
だからこそ大切なのは、予定を完璧に守ることだけではありません。
予定が崩れた時に、すぐ立て直せることです。
そのためには、今どれくらい遅れているのかを把握する必要があります。
15分単位で予定と結果を見える化していれば、
「30分遅れている」
「1時間遅れている」
「まだ余白時間で吸収できる」
という判断がしやすくなります。
遅れが見えれば、対策が取れます。
・完成度を調整する
・上司に相談する
・他の仕事と入れ替える
・明日の予定に移す
予定が崩れた時に怖いのは、遅れることそのものではありません。
どれくらい遅れているのか分からないことです。
見えない遅れは、不安になります。
見える遅れは、対策できます。
まずは、1つの仕事だけ時間を測ってみる
いきなり1日すべてを15分単位で記録するのが難しい場合は、まず1つの仕事だけでも構いません。
たとえば、毎日よく行う仕事を1つ選びます。
・メール返信
・見積り作成
・資料作成
・会議準備
・日報作成
・社内確認
そして、始める前に予定時間を書きます。
「この仕事は30分で終わると思う」
終わったら、実際にかかった時間を書きます。
「実際には45分かかった」
そして、その差を確認します。
なぜ15分長くかかったのか。
確認が必要だったのか。
資料を探す時間があったのか。
途中で迷ったのか。
必要以上に作り込んだのか。
この確認をするだけで、次回の見積りは少し正確になります。
小さな記録の積み重ねが、時間見積りの精度を上げていきます。
まとめ:時短は、スピードよりも「時間を読む力」から始まる
時短というと、作業を早くすることだと思われがちです。
しかし、仕事のストレスを減らし、定時内に成果を出すためには、作業スピードだけでは不十分です。
大切なのは、
自分の仕事にどれくらい時間がかかるのかを正しく見積もること
です。
TODOリストに仕事を書くだけでなく、時間をつける。
予定と結果を比べる。
ズレた理由を確認する。
次回の見積りを少し修正する。
この積み重ねによって、仕事の終わりが見えるようになります。
終わりが見えると、不安が減ります。
不安が減ると、焦りが減ります。
焦りが減ると、ミスも減ります。
そして、落ち着いて成果を出せるようになります。
予定通りに行かない自分を責める必要はありません。
まずは、自分の仕事にかかる時間を知ること。
そこから、時短も、仕事のストレス軽減も始まります。
株式会社営業改善
代表取締役
黒田昭彦
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著者:黒田昭彦
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