見積りが高いと言われた時にはどうするか?価格を下げずに説明が必要な訳。

【2022年8月2日改訂】
先日、システム会社の社長とお話をしていたのですが、得意先から見積もりが高いと言われて困っているという事でした。

なぜ、高いと言われるっているのですか?と理由をお伺いしたのですが、理由はよく分からないというお話でした。この様なお話は本当によくお聞きするので、今回はその対処に関してお話してまいります。

■なぜ、見積りが高いと言われるのか?その3つ理由。

お客さんが見積もりを高いという理由は3つあります。
1.競合よりも高い
相見積りを取っていて、御社の方が高いのですが・・というケースです。

2.予算よりも高い
お客様がご自分で想定していた金額よりも高いというケースです。

3.とりあえず高い
困った話なのですが、お客様がとりあえず高いと言って様子を見ているケースです。

この様に高い高いと一口で言っても中身は違っています。
何と比べて自社の見積りが高いのかは、問題解決のひとつのヒントになって行きます。

■お客様と営業マンの見積り感覚のズレの原因

お客様が見積りを高いと思う原因は、お客様が営業マンと比較して専門家ではないので知見がないという理由があります。

得意先は、営業マンの様に商品・サービスの業務内容やその業務にどれ位の時間がかかるのかを知っている訳ではありません。つまり、価値が分からない、知らないという事から見積り価格に対して違和感が出るのです。

業務における工数、手間暇、ノウハウ、業界標準も知らない事が多い為、プロである営業マンが考える工数に比べてはるかに少ない工数で見積もりを考えてしまうのです。
仮にお客様が工数をある程度知っていたとしても、専門家である営業マンに比べればはるかに少ない知識しかありませんので、正確に見積る事は出来ないのです。

見積り金額に納得いただく方法

対策は、得意先に見積りの詳細を知って頂きお客様が感じている疑問や違和感を解消して頂く事です。
もっと言えば、不信感を払拭して信頼関係を築く事が重要になります。

では、どうすればよいのか?
具体的には、業務内容の全てを書き出すことです。
ここで大事な事は「全て」という所です。どんな些細な事でも労力やノウハウが必要な事は全て見える化して見せなければ、得意先には伝わりません。

例えば、皆さんがホームページの制作会社の営業マンだったとします。
見積り項目にホームページに使う写真素材があったとして、撮影もしくは写真のレンタル代という項目は分かりやすいですが、写真の選定作業、選定前にあるどの様な写真が有効であるかの企画費、そして実際に選定した写真を購入手配する事務作業費までとなるとお伝え出来ているでしょうか?

そこまでするかという位にしている事を書き出して行きます。
削る事は後から後からでも出来ますので、とにかく書き出して見積り内容を説明する自分自身にも労力を再認識させる必要もあります。

これらは、かなり細かい話ですが実際に業務時間が掛かっているのなら伝える必要があります。
なぜなら、得意先はノウハウがないのでその労力を想像すら出来ていないのですから。

もちろん、サービスの範囲という意見もあるかもしれませんが、実際に時間がかかるのであれば、そのかかる時間の費用はどこかの項目に含められる事になります。
そうすると、含められたどこかの項目は本来の費用より高く見えてしまいます。
それが、得意先が見積りが高いと思う原因の一つですし、下手をしたら不信感まで持たれてしまいます。

この様に全ての業務項目を明らかにして得意先と一つ一つ確認をして行けば、見積りのどの部分が得意先の要望とズレているかは見えて来ます。

得意先にこんな業務や労力がある事に気が付いて頂くのです。
得意先とのズレが明らかになれば、そのズレへの対処は可能ですから見積りが高い原因は解消されて行きます。

■得意先に見積りが高いと言われた時の対処方法

業務内容の全てを書き出し、些細な事でも労力やノウハウが必要な事を全て見える化して、得意先に伝える。

1.競合よりも高い
競合の見積りと比較して、項目の必要・不要を明確にします。

例えば、自社には手厚い導入サポートがあるのに競合にはないとすれば、そのサービスの必要性に関して説明、確認します。
必要であれば自社の提案力は評価されるでしょうし、不要であれば、その分の価格を下げる事が可能です。

項目のあるなしで費用が高く見えるという事はよくある話です。
それが原因であれば、その項目が必要かどうかを確認して行けば見積もりが高いと言う問題は解決していきます。

2予算よりも高い
提示している見積り項目を一つ一つ説明、確認します。

得意先が不要、もしくは自分自身で対処するのであれば、その項目は省略が可能ですので価格を下げることが可能になります。

3.とりあえず高い
提示している見積り項目を一つ一つ説明、確認して実施項目、作業内容に納得して頂ければ得意先もその様な手間暇が掛かるのだなと分かり、見積りが高いという不信感は払拭されます。

■最終的には「信頼」を得る事が対処方法

細かく見ればきりがありませんので、大まかにはその様になります。
見積りはお金ですから非常に大事でセンシティブなものです。
それゆえ、見積りが高いと言われたとしても値段を下げれば良いというものではありません。
なぜなら、意味なく値段を下げてしまうと最初は高い見積りを出して来たのかと優良な得意先ほど不信感を感じてしまうからです。

ですから、最初からよく検討して削減できる所は削減した最終回答の見積りを出すのが誠実で正解なのです。
得意先はバカではありません。その誠実さを得意先は見抜くものです。

もし見積りを下げるなら、その時には下げる理由が必要です。
単に頑張りましたでは、最初の見積りは頑張っていない適当な見積りでしたと言っている様なものです。
皆さんなら、その様な取引先を信用するでしょうか?

逆にとにかく見積りを下げてくださいと執拗に迫る企業とは取引を考えた方がいいかもしれません。
見積りだけではなく業務進行に関しても理不尽な要求を受ける事が多くなる可能性が高いと推測されるからです。

営業をしていれば、見積りが高いと言われる事はよくある事です。
大事な事は、そこで焦らずにどの様に高いのかを確認して見積り内容をきちんと説明してご理解いただくことです。
そして、この見積りは不要な削減できる所は削減した誠実な見積りだと認識いただき得意先の信頼を得る事です。

見積りが高いと言われるのは、「不信感=信頼がない」という事の表れともいえます。
ならば、見積り内容を丁寧にご説明して「見積り内容への納得=信頼感を得る」事は非常に重要だと言えます。
得意先は信頼できない営業マンには発注しません。
見積りは、得意先が営業マンを信頼に値するかを見極めるテストにもなっているのです。

得意先に見積り内容をご理解いただければ信頼がベースとなり、提示している見積り項目に関して必要なのか不要なのか、必要だが単価ダウンの為に得意先と役割分担が出来ないのかなど、相談するフェーズへ移行して対策が取る事が可能になります。

見積りが高いと言われたら、まずは見積り項目を見直しましょう。
そして、見積り内容を丁寧にご説明して見積り内容への「納得=信頼感」を獲得しましょう。
そうすれば、あなたは得意先から信頼されて今回の見積り案件だけではなく、継続的に受注することが出来るようになります。

株式会社営業改善
代表取締役・営業コンサルタント
黒田 昭彦

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