新型コロナウイルスの影響でテレワークが必須となり、中小企業でもデジタル化を進めてテレワークを進める様に発想を転換すべきだという議論がありますが、実際には企業体力の問題もあり中小企業ではデジタル化やテレワークが進まないという現状もある様です。
そこで今回は、テレワークが必須となり、働き方改革の推進の面からも「業務の見える化」が求められる中、IT投資をしないでも「見える化」を実現する目からウロコの方法について考えてみたいと思います。
ITがなければ「見える化」は出来ないのか?
「見える化」を実現する為にはデジタル化を推進させてITを導入しなければならないという議論がよくあります。
新型コロナウイルスの影響以降、急速に普及したテレワークを推進するにはデジタル化が必要だという議論です。
しかし、実際問題として中小企業はデジタル化をどんどん推進するだけの体力がないというのも事実です。
では、デジタル化を推進する体力がない中小企業では「見える化」は出来ず、テレワークの推進も働き方改革の実現も難しいのでしょうか?
私はそんな事はないと思っています。
アナログで業務を「見える化」する方法
では、どうやって「見える化」を進めればいいのでしょうか?
例えば、デジタルではなくアナログで「見える化」を進める方法はないのでしょうか?
私が推薦しているのはパソコンがあれば、ほぼ実装されているエクセルを利用して業務の見える化をする「15分スケジュール」という手法です。
「15分スケジュール」とは、その日の行動を15分単位で全て記録していき、その記録を元に自分の行動がどれだけ「あるべき姿」と乖離しているかを自覚して業務の改善につなげる手法です。
やり方は簡単で1日の行動予定を15分単位で設定して、その結果を15分単位で記録していくだけです。エクセルは、その入力に使用します。
「15分スケジュール」のメリット
15分単位なので細かくて手間がかかりそうに思われるかもしれませんが、2週間もすると慣れてきます。
そして、慣れて来ると便利な為、逆に手放せないツールになってきます。
「15分スケジュール」には会社側だけでなく、実施する社員側にも様々なメリットがあります。共通するメリットに加えて、実は社員側のメリットの方が多い位なのです。
【共通(会社)のメリット】
・業務内容の可視化(見える化)
・目標「あるべき姿」になる為の効率的な時間の再配置
・業務効率の改善
【社員のメリット】
・TO-DOリストでは出来ない優先順位の明確化
・業務量が適切(キャパシティ内)かの確認が可能
・業務の時間見積りが精緻になり段取りが向上する
・スキマ時間が活用できる
テレワークでは会社、上司への報連相やコミュニケーションが問題になりがちですが、「15分スケジュール」を実施していれば、朝夕での予定と結果の確認、もしくは夕方の結果とそれに対する対処の確認だけで1日の仕事内容の全てが分かりますので、サボりなどの心配が不要になります。
「15分スケジュール」の課題
ただ「15分スケジュール」にも課題はあります。
メリットは社員側にも存分にあるのですが、社員側からは15分単位の記録というのが恐ろしく面倒な作業の様に思えるという事です。
そこで、「15分スケジュール」をいきなり実施するのではなく、中間的な成果確認ツールとして「週間スケジュール」という手法を私はまずはお薦めしていります。
「週間スケジュール」というのは、文字通り一週間の業務に関して、課題ごとにその週のゴールを明確にし、ゴールに到達するための行動を月曜~金曜日の行動予定に落とし込むものです。
チームメンバーは、課題ごとに1週間のゴール設定やゴールに到達する為の行動予定に問題がないかを確認します。
逆に会社側、中間管理職やチームリーダーは、その行動予定やゴール設定に問題がないかを確認し適宜アドバイスを行うものです。
この「週間スケジュール」であれば、報告・連絡・相談の業務は週末の週一回、もしくは集初めと週末の週2回、月曜~金曜日の週5回程度で済む事になります。
「15分スケジュール」とは煩雑さが全く違う印象があり、取り組みやすく感じますので「見える化」初期の取り組みとしては最適だと思われます
成果主義とプロセス評価
経営者のゴールは最終的には収益を上げていく事ですので、成果を上げてくれているのであればプロセス管理や「見える化」を行う必要はありません。
つまり、放っておいても成果を上げてくれる優秀な社員であれば「見える化」を無理強いする必要はなく、任せておけば良い訳です。
ただ、多くの社員にとって成果主義は精神的に負担が大きいのが現実です。
なぜなら、成果が出るまでには時間がかかりますし、場合によっては成果が出ない時もあるからです。
よって、営業であれば受注というゴールまでのいくつかのプロセスに関してマイルストーン設定を行いプロセス評価の実施をする事も重要となります。
つまり、「見える化」とは一般的な社員のプロセス評価を継続する為の手法であり、優秀な社員の業務手法を可視化して他の社員へ水平展開する為の手法にすぎません。
この手法であれば、明日からでも導入は可能です。事実、私の得意先では「15分スケジュール」をご紹介した翌日から実施された企業様もありました。
ぜひ今度は皆様の企業でも「15分スケジュール」「週間スケジュール」を試してみませんか?
「営業改善」代表:黒田昭彦
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