「あるべき姿」に近づく時間の使い方|15分スケジュールで理想と現状の差を埋める

「部下の成長を支えられるマネジャーになりたい」

「お客様の課題を深く理解し、より良い提案ができる営業担当者になりたい」

仕事をするうえで、このような「あるべき姿」を思い描いている方は多いと思います。

しかし、実際には目の前の仕事に追われて、一日が終わってしまう。

大切だと分かっている部下育成や新規開拓、提案の準備などは、どうしても後回しになる。

このような状態を変えるためには、「あるべき姿」を考えるだけではなく、あるべき姿に近づくための時間を、実際の予定の中に確保することが必要です。

今回は、「あるべき姿」と現在の時間の使い方との差を見える化し、具体的な行動へ変えていく方法を考えてみます。

「あるべき姿」は、仕事を選ぶための基準になる

「あるべき姿」と聞くと、少し大げさな理想像のように感じるかもしれません。

しかし、私は「あるべき姿」を、自分が何に時間を使うべきかを判断するための基準と考えています。

例えば、「部下の成長を支援するマネジャーになりたい」と考えているにもかかわらず、
実際の一週間を見ると、部下と話す時間がほとんどない。

その一方で、

・会議
・資料作成
・メール対応
・社内調整
・事務作業

などに多くの時間を使っている。

これでは、思い描いている姿と、実際の行動が一致していません。

あるべき姿を考える意味は、理想を語ることではありません。

今の時間の使い方を見直す基準をつくることにあります。

「あるべき姿」を考える3つの視点

あるべき姿を考える際には、次の3つの視点で整理すると考えやすくなります。

Will:自分がやりたいこと

どのような仕事に関心や、やりがいを感じるのか。

例えば、

「人に教えることが好き」
「お客様と一緒に課題を考える仕事がしたい」
「新しい企画を考える仕事に時間を使いたい」

などです。

Can:自分ができること

これまでの経験や知識、得意なことは何か。

例えば、

「営業経験が豊富」
「提案書をつくることが得意」
「若手に営業の進め方を教えられる」

などです。

Must:自分に求められていること

会社や上司、お客様、部下から何を期待されているのか。

マネジャーであれば、

「売上目標を達成する」
「若手を育成する」
「チームの営業力を高める」

といった役割があります。

Will・Can・Mustを重ね合わせることで、

例えば、

「自分の営業経験を生かして、若手が自分で提案を考えられるように支援するマネジャーになる」

という、具体的な「あるべき姿」が見えてきます。

「あるべき姿」を行動に置き換える

ここで大切なのは、

「部下を育成する」
「営業力を高める」
「新規開拓を強化する」

という言葉だけで終わらせないことです。

その状態をつくるために、実際に何をするのかまで考えます。

例えば、

「若手営業担当者の提案力を高める」という目標であれば、

・提案先について一緒に考える
・提案書を提出前に確認する
・商談後に振り返りをする
・成功した提案事例を共有する

といった具体的な行動に分けることができます。

さらに、

「毎週60分、部下育成の時間を確保する」

というところまで決めれば、予定に落とし込むことができます。

「部下育成を大切にする」という考えだけでは、忙しくなると後回しになってしまいます。

しかし、

毎週60分確保すると決めれば、現在の時間の使い方との差が見えるようになります。

現在の時間の使い方を「15分スケジュール」で見える化する

あるべき姿が明確になったら、次は現在地を確認します。

「時間がない」「忙しくてできない」

という感覚だけでは、改善方法を考えることができません。

そこで活用していただきたいのが、拙著『15分スケジュール すぐに成果を出す人の時間術』で紹介している、仕事を15分単位で見える化する方法です。

まずは一日、できれば一週間、

実際に何に時間を使ったのかを記録してみてください。

例えば、

9:00~9:30 メール確認
9:30~10:00 社内会議
10:00~10:45 資料作成
10:45~11:00 電話対応
11:00~11:30 見積書作成

というように記録します。

予定だけではなく、実際に使った時間も確認することが大切です。

記録してみると、

「資料作成に思った以上の時間を使っている」

「細かな社内対応で予定が分断されている」

「重要だと思っていた新規開拓には、ほとんど時間を使えていない」

といったことが見えてきます。

以前の記事でも、AI活用を考える前に、まず現在の仕事内容と時間の使い方を見える化することの重要性をご紹介しました。

▶関連記事
「AI活用の前に『何を効率化するか』を整理する~AIに仕事の見える化が必要なわけ~」

「あるべき姿」と「現在」の差を数字にする

例えば、「部下育成に週60分使いたい」と考えているマネジャーがいるとします。

実際に一週間の時間を確認すると、部下育成に使っていた時間は15分だった。

すると、

・あるべき姿:60分
・現在:15分
・不足している時間:45分

となります。

ここまで分かれば、「もっと部下育成を頑張らなければ」という曖昧な問題ではなく、

「週45分を、どの業務からつくるか」という具体的な課題に変わります。

私は、ここが非常に大切だと考えています。

時間の問題を「忙しい」「時間がない」という感覚だけで終わらせず、できるだけ数字に置き換える。

そうすると、改善策を考えやすくなります。

不足している時間をつくるために、今の仕事を見直す

週45分を新しくつくると決めたからといって、一週間そのものを長くすることはできません。

そこで、現在行っている仕事を見直します。

大きくは、

「減らす仕事」
「任せる仕事」
「効率化する仕事」

を探します。

1.減らす仕事

例えば、

・ほとんど活用されていない資料
・必要以上に細かな報告
・目的が曖昧な会議

などです。

「昔からやっているから」という理由だけで続いている仕事がないかを確認します。

2.任せる仕事

必要な仕事であっても、自分自身が行わなければならないとは限りません。

例えば、

・定型的な資料作成
・データ入力
・集計作業
・定型的な確認業務

などです。

手順や判断基準を整理すれば、他の方へ移管できる仕事もあります。

3.効率化する仕事

AIやITツールを活用したり、仕事の手順を変えたりすることで短縮できる仕事もあります。

ただし、不要な仕事をAIで速くする前に、その仕事自体が本当に必要かを確認することをおすすめします。

必要のない仕事であれば、「効率化」よりも「やめる」方が大きな時間削減になります。

確保した時間を、すぐ予定に入れる

業務を見直して45分の時間を確保できたとします。

ここで重要なのは、空いた時間をそのままにしないことです。

空いた時間は、別の仕事で簡単に埋まってしまいます。

そこで、

月曜日 15分
「若手と今週の重点案件について話す」

水曜日 15分
「提案書の構成を一緒に確認する」

金曜日 15分
「商談結果を振り返る」

というように、具体的な予定として入れます。

これで、「部下育成をする」という漠然とした目標が、いつ、誰と、何をするのかという行動に変わります。

営業担当者であれば、「新規開拓を強化する」という目標を、

火曜日10:00~10:30
新規開拓候補5社を調べる

木曜日15:00~15:30
候補企業へメールを送る

という予定に置き換えることができます。

予定を入れたら、その時間を守る

せっかく重要な予定を入れても、

メール
電話
社内からの依頼
思いついた別の仕事

によって簡単に予定が崩れてしまいます。

そのため、予定をつくることと同時に、決めた時間を守ることも必要です。

以前の記事でもご紹介しましたが、すべての割り込み案件へ、その場ですぐ対応する必要はありません。

緊急でなければ一旦記録して、現在予定している仕事へ戻る。

そして後から優先順位を判断して、改めて予定に入れる。

▶関連記事
「仕事を前に進めるために、『割り込み』から予定を守る」

「あるべき姿」に近づくためには、そのために確保した時間を守ることも重要です。

一週間後に「時間」と「変化」を振り返る

一週間実践したら、振り返ってみてください。

確認したいのは、主に次の2つです。

1.予定していた時間を確保できたか

部下育成60分を予定して、実際に60分実施できたのか。

できなかった場合は、何が原因だったのかを確認します。

2.行動によって何か変化があったか

時間を確保することそのものが目的ではありません。

例えば部下育成であれば、

「部下が自分から提案の考えを話すようになった」

「商談前に相談するようになった」

「上司が指示しなくても次の行動を考えるようになった」

という変化があれば、あるべき姿へ近づいていると考えることができます。

時間だけでなく、その時間を使った結果も確認し、次の一週間の予定を修正していきます。

「あるべき姿」を、今日の15分に変えてみる

「あるべき姿」は、遠い将来の理想ではありません。

私は、今の時間の使い方を変えるための基準だと考えています。

まず、

「自分は、どのような仕事をする人になりたいのか」を考える。

次に、

「そのためには、どんな行動が必要なのか」を考える。

そして

現在の時間の使い方を確認し、「その行動のために、何分必要なのか」を考えます。

その時間をつくるために、

・減らす仕事
・任せる仕事
・効率化する仕事

を決める。

最後に、その時間を実際のスケジュールへ入れます。

つまり、

あるべき姿
↓
必要な行動
↓
必要な時間
↓
現在との差
↓
業務を見直す
↓
予定に入れる

という順番です。

まずは、

「自分があるべき姿に近づくために、今週何に15分使うのか」を一つ決めてみてはいかがでしょうか。

15分であれば、始めるハードルはそれほど高くありません。

しかし、その15分を毎週積み重ねれば、時間の使い方は少しずつ変わっていきます。

そして、時間の使い方が変われば、仕事の成果や自分自身の働き方も変わっていくはずです。

拙著『15分スケジュール すぐに成果を出す人の時間術』(明日香出版社)では、1日の仕事を15分単位で見える化し、やるべき仕事を具体的な予定へ落とし込む方法を紹介しています。

「やりたい仕事になかなか時間を使えない」

「目標はあるが、日々の行動につながらない」

「成果につながる仕事の時間を増やしたい」

という方は、ぜひご活用ください。

▶『15分スケジュール すぐに成果を出す人の時間術』

株式会社営業改善
代表取締役
黒田昭彦

営業の時間の使い方を見直したい企業様へ


株式会社営業改善では、「15分スケジュール」「週間スケジュール」を活用し、現在の時間の使い方を見える化したうえで、会議・資料作成・報告業務などを見直し、新規開拓、重点顧客への提案、部下育成など、成果につながる活動へ時間を振り替えるご支援を行っています。

「営業担当者が忙しく、新規開拓が進まない」

「マネジャーがプレイング業務に追われ、部下育成の時間が取れない」

「営業部門の生産性を高めたい」

といった課題がございましたら、お気軽にご相談ください。

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『15分スケジュール すぐに成果を出す人の時間術』

黒田昭彦 著/明日香出版社
2026年3月発売/税込1,760円/256ページ

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