見積りはいつ出すべきなのか?

― 成約率と利益を左右する“見積りのタイミング”を考える ―

みなさんは、見積りを出すタイミングに悩んだことはないでしょうか?
営業活動において「価格をいつ提示するか」は、成約・利益・信頼関係すべてに影響する重要な判断です。

今回は、私自身の苦い失敗談を交えながら、「見積りの出しどき」について考えてみたいと思います。


■ 見積りを後回しにして、大失敗した話

会社員時代の話ですが、私は「見積りは与件が確定してから出した方がいい」と早い段階での予算の確認を怠り、大失敗してしまったことがあります。
価格提示を先延ばしにした結果、業務だけが先行。最終的に予算と大幅に乖離して、修正や手戻りが大幅に発生して、信頼も失う結果になりました。

今振り返れば、価格提示のタイミングを見誤ったことがすべての原因でした。
見積りの遅れが、営業としての信用・利益・プロジェクトの効率、すべてを崩してしまったのです。


■ 見積り後回しの典型パターンとその落とし穴

パターン一見のメリット実際のリスク
関係性が深まってから価格提示信頼を得てから話せるタイミングを逃すと「高い」と感じられる
ヒアリングを徹底してから提示要望を正確に把握できる価格感が合わないと時間のロスになる
競合と差別化してから提示価値訴求がしやすい他社に先に価格を出されて比較される

「関係性が出来てから価格の話を」という考え方は、いまだに多くの営業現場に残っています。
もちろん、唐突な価格提示は逆効果ですが、適切なタイミングの見積り提示は、信頼構築の武器になります。

たとえば、修正対応やオプション提案など、相手が「必要だ」と感じた時に出した見積りには、価格への納得感があります。
しかし、そのタイミングを逃せば、同じ金額でも「高い」と感じられてしまうことはよくあります。

これはまさに「山頂で飲む水」のようなものです。登頂直後なら500円のペットボトルでも感謝されますが、下山してしまえば、誰もその価格で買おうとは思いません。


■ なぜ後回しにしてしまうのか?

「価格を出したら断られるかもしれない・・」
そんな恐怖から、見積り提示を引き延ばす営業担当者は少なくありません。

でも、こう考えてみてください。
価格が合わないということは、本来、受注すべきでない案件なのかもしれない。

利益が出ない案件は、営業側も制作側も疲弊します。
当然、品質にも影響し、お客様の満足度も下がってしまう。
断られること=失注(失敗)ではなく、むしろ営業にとっては健全な“選別”なのです。

「見積りを後回しにしてしまう原因」

・「価格を出す=断られるかも」という心理的ブレーキ

・「まだ関係が浅いから、価格の話は早すぎる」という思い込み

・「まずはヒアリングを完璧にしてから」という完璧主義

しかし、実際には「価格を出すこと=営業の意志表示」であり、「提案の仕上げ」でもあります。
信頼関係は、価格提示を通じてさらに深まることもあるのです。


■ 見積りは「価格表」ではなく「意志表示」である

見積りは、単なる数字の提示ではありません。
それは営業としての覚悟と提案の完成形です。

・成約のためには、価格を出すことを恐れない

・利益のためには、タイミングを見極めて出す

・“いつ出すか”で、提案の価値を決める

営業で成果を得るには、話し方や資料の作り方はもちろん、「いつ・何を・どのように提示するか」も重要なのです。


■見積りは、精度だけでなく「タイミング」も磨く

営業で成果を出すためには、「出し方」と「出す時期」にも意識を向ける必要があります。

・相手が“欲しい”と思った瞬間に出せるように準備をしておく
・価格提示を恐れず、受注可否の判断材料とする
・信頼を積み上げるために、早めに見積りを出して、調整する時間を確保する

「まだ早いかも…」と迷っているうちに、商談の好機が逃げてしまわないように・・
一歩早い“見積り提示”が必要です。


見積りのタイミングを見直せば・・

見積りタイミングを見直せば、

・商談のスピードが上がる

・利益率が改善する

・お客様との信頼関係も強化される

といった変化が期待できます。

「見積りの出しどき」の基準がない場合は、ぜひ一度そのタイミングを考えてみてください。みなさんの提案力を、タイミングの力で最大化して行きましょう!

株式会社営業改善
代表取締役
黒田昭彦

「見積り」をさらに学びたい方へ

・無料セミナー
 「見積り強化プログラム」体験ミニセミナー

・オンライン講座
 「見積り強化プログラム」のご案内

・無料メール講座
 ▶「見積り強化プログラム」メール講座

「営業」をさらに学びたい方へ

・書籍
  ▶「20日間でマスター 数字が作れる営業研修

・コンサルティング&研修資料
 ▶「営業改善」コンサルティング資料

本ブログの内容、営業改善へのお問い合わせ先



関連記事

  1. トップ営業マンと普通の営業マンの違いとは?

  2. 小さな仕事は断るべきか? ― 数字を上げる営業は“選び方”が違う

  3. 見積りで悩むのは営業マンではない。顧客に悩んでもらうのが正解。

  4. 見積りが高いと言われた時にはどうするか?価格を下げずに説明が必要な訳。…