得意先から担当者の変更を申し入れられるというのは、営業マンとしてはショックな事だと思います。最近、そんな事が続いているとある取引先から聞いて、改めて信頼とはどの様に出来るのかを考えさせられました。
信頼の構築プロセスを考えると、トップ営業マンと普通の営業マンにある違いは実は、ほんのちょっとした差にあるのだと気付かされます。
営業マンは得意先から信頼される事を、最初に目指しているかと思います。それは、受注や契約の獲得が信頼という土台の上にあり、提案による期待感は信頼という土台の上で初めて成り立つのだと知っているからです。
では、信頼とは何がどれ位あると獲得できるのでしょうか?
ただ、これには時間がかかります。期待感を得ることは最初の商談でも可能かもしれませんが、信頼とは仕事の積み重ねだからです。
そして、その仕事の積み重ねの仕事内容はごく普通の対応です。
野球でいうところのホームランを求めている訳ではなく、打ったら全力で一塁に走る、怠慢なプレーはしないなど誰にでも出来る事が信頼を築き上げます。
トップ営業マンに取材に行くと皆さん口をそろえて「特別な事はしていません。普通にしています。」と仰います。普通にしているのに、なぜ成果が出るのでしょうか?
普通の営業マンに取材に行くと「〇〇をしています」と説明してくれます。工夫しているのになぜ成果が出ないのでしょうか?
それは、我々が日常で営業マンに求める事を考えると見えて来ます。取引先が営業マンに求めるものも我々が営業マンに求める事と基本的には同じだからです。
変な話ですが、我々は営業マンにはまず普通である事を望んでないでしょうか?正直な話、営業マンには当たりハズレがあります。素晴らしい営業マンでなくてもいいのでハズレだけは勘弁してほしいという話はよく聞く話です。
つまり、約束を守る。信用できるなど、普通である事を求めます。でも、実はこれがなかなか難しい。
時間を守る。誠意ある対応をする。期日を守る。全て普通で当たり前の事なのですが、人は忙しくなるとこれが意外に出来ません。
見積りなどの提出物が時間に遅れてしまう。問い合わせに対して、うっかり返答を失念してしまう。提案内容、品質に対してこれ位でいいだろうと妥協してしまう。請求書を〆切までに出せない。提出書類が誤字、脱字だらけなど、誰でも出来る事なのですが、なかなか出来ないのが現実なのです。
素晴らしい提案、気の利いた情報提供などは、もちろん高い評価を得られますが、基本である信頼関係(時間を守る。誠意ある対応をする。期日を守るといった普通で当たり前の事が出来ているという土台)がなければ、そんな事よりもまずは普通に対応して欲しいとなります。
ひと言でいえば、言われた事をきちんとやる事です。それが出来る営業マンが実は意外にいないのです。
例えば、人材派遣業界のトップ営業マンの習慣はメモです。営業マンなら、出先で得意先から電話や連絡が入るのはよくある事ですが、始終あるが故に対応が100%になりにくいものです。
この営業マンはメモする事で失念を防止して、メモを見返す事で対応を100%に近づけています。顧客の要望に応える事が出来るかどうかは、会社や個人の状況にもよりますので分かりません。ただ、忘れず(出来れば迅速)に対応する事は誰にでも出来ます。
でも、本当の事です。
私も以前は、本を読んでもへーと感心して、何も実行しない99%でした。いわゆる耳学問です。当然何も変わりません。今は、とにかく試してみます。合わなければ止めれば良いのですから。
そうすると変わります。当たり前ですが、本は成功した人が書いている成功する方法なのですから当然といえば当然です。望みが叶う呪文を教えてもらったのに、なぜ呪文を唱えないのか?と著者は思っているに違いありません。
トップ営業マンの秘密は実は普通の事を100%しっかりして信頼という土台をしっかりと築いている事です。よく言われる、良い提案や情報提供はその後になります。
皆さんも普通を実行して1%しかいないトップ営業マンになりませんか?実は簡単ですから!
株式会社営業改善
代表取締役
黒田昭彦