「もっと新規開拓をしよう」
「重点顧客への訪問を増やそう」
「売上目標を何としても達成しよう」
営業の現場では、このような言葉が日常的に使われています。
もちろん、成果を出すために努力することは大切です。
しかし、営業担当者がすでに忙しく働いているにもかかわらず、さらに「頑張ろう」と求めるだけでは、なかなか状況は変わりません。
既存顧客への対応、見積書や提案資料の作成、社内会議、問い合わせへの対応、社内調整、移動……。
こうした業務に追われている状態で、「新規開拓も増やしてください」と言われても、できることには限界があります。
必要なのは、営業担当者の努力を増やすことではありません。
頑張りすぎなくても、成果につながる仕事を実行できる仕組みを作ることです。
そのために、私は次の5つが重要だと考えています。
1.頑張る前に、仕事を分ける。
「提案書を作る」
「新規開拓をする」
「展示会の準備をする」
このように仕事を大きな単位で捉えていると、なかなか着手できません。
例えば「新規開拓をする」という仕事も、
- 候補企業を10社選ぶ
- 優先する3社を決める
- 企業情報を調べる
- アプローチする内容を考える
- 電話やメールで連絡する
- 結果を確認して次の予定を決める
と分ければ、一つひとつは実行しやすくなります。
これは、私が著書『15分スケジュール』でもお伝えしている考え方です。
大きな仕事を前にして「頑張って終わらせよう」とするのではなく、まず、すぐに着手できる大きさまで仕事を分ける。
仕事を小さくすると、必要な時間も分かりやすくなり、次に何をすればよいか迷う時間も減らせます。
2.急ぐ前に、予定を立てる。
忙しい営業担当者ほど、
「時間ができたらやろう」
「今日中に何とかしよう」
と考えがちです。
しかし、時間は自然には空きません。
新規開拓や提案資料の作成など、重要だけれど緊急ではない仕事ほど、後回しになってしまいます。
そこで必要なのが、やるべき仕事をTODOリストに書くだけでなく、具体的な日時を予定として確保することです。
例えば、
「今週、新規開拓をする」
ではなく、
「火曜日の10時から10時30分まで、候補企業3社を調べる」
「木曜日の14時から14時30分まで、3社へ連絡する」
と予定に入れておきます。
仕事が遅れてから急ぐのではなく、先に予定を決めておく。
予定が決まれば、「いつやろう」と考える必要がなくなり、行動へのハードルも下がります。
3.結果を責める前に、行動を確認する。
営業会議では、
「今月の売上はいくらか」
「この案件は決まりそうか」
「新規開拓は何件できたか」
と、結果を確認することが多いと思います。
しかし、売上は結果です。
結果が出てから、
「なぜ売れなかったのか」
「もっと頑張らないといけない」
と話しても、改善できるのは次の月になってしまいます。
それよりも確認したいのは、成果につながる行動が予定され、実施されているかです。
例えば、
「今週はどの企業へアプローチする予定か」
「重点顧客へ、いつ提案するのか」
「案件を進めるための次の行動は何か」
を確認します。
予定の段階で行動を確認すれば、実施できていない仕事を早い段階で修正できます。
営業マネジメントでも、結果だけを見るのではなく、結果につながる予定と行動を見ることが大切です。
4.売上を求める前に、営業する時間を確保する。
営業担当者に、
「新規開拓を増やしてください」
とお願いしても、営業する時間そのものがなければ実行できません。
ある企業では、新規開拓を進めたいという課題を抱えていましたが、営業担当者が実際に何に時間を使っているのかを把握できていませんでした。
そこで、日々の業務を見える化してみると、営業担当者自身が行わなくてもよい業務や、やり方を見直せる業務が見えてきました。
重要なのは、ただ他部署へ仕事を振ることではありません。
業務の目的や必要性を確認したうえで、
- 営業本人が行うべき仕事
- 他の担当者と分担できる仕事
- まとめて処理できる仕事
- やり方を変えれば短縮できる仕事
- やめても問題のない仕事
- AIやシステムを活用できる仕事
に整理します。
そうして生み出した時間を、新規開拓や重点顧客への提案など、営業成果につながる活動へ振り向けます。
売上を増やしたいのであれば、まずは売上を作る活動に使える時間がどれだけあるのかを確認する必要があります。
5.個人の能力に頼る前に、仕組みとツールを整える。
営業成績の良い人を見ると、
「営業センスがある」
「コミュニケーション能力が高い」
「経験が豊富だからできる」
と考えがちです。
しかし、組織として営業力を高めるのであれば、優秀な個人に頼るだけでは十分ではありません。
例えば、成果を出している営業担当者が、
- 商談前に何を調べているのか
- どんな質問をしているのか
- どのタイミングで見積りを出しているのか
- 商談後にどのようにフォローしているのか
- どのような提案資料を使っているのか
を整理します。
そして、それを営業プロセスやチェックリスト、提案書、見積書、営業ツールなどに落とし込みます。
すると、個人の経験や勘に頼っていた営業活動を、他の担当者も実践しやすくなります。
営業力を高めるというと、「営業担当者を鍛えること」ばかりに目が向きます。
しかし、本当に必要なのは、営業担当者が成果を出しやすい環境を整えることなのです。
「もっと頑張る」以外の方法を考える
営業担当者が成果を出せていないとき、
「本人の努力が足りない」
と考えるのは簡単です。
しかし、本人はすでに十分頑張っているかもしれません。
それでも成果が出ないのであれば、仕事の進め方や営業の仕組みに改善できるところがないかを考えてみる必要があります。
頑張る前に、仕事を分ける。
急ぐ前に、予定を立てる。
結果を責める前に、行動を確認する。
売上を求める前に、営業する時間を確保する。
個人の能力に頼る前に、仕組みとツールを整える。
営業改善とは、「もっと頑張らせること」ではありません。
今ある時間と人員の中で、成果につながる仕事を実行しやすくすること。
私は、これが「頑張りすぎなくても成果を出せる営業の仕組み」だと考えています。
株式会社営業改善では、『15分スケジュール』や週間スケジュールを活用した営業の時間の見える化、営業プロセスの改善、営業ツールの整備などを通じて、営業担当者が成果につながる活動へ時間を使える仕組みづくりを支援しています。
株式会社営業改善
代表取締役
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