アフターコロナの世界を考える ―テレワークの加速がもたらすものとは?―

新型コロナウイルスの影響で、日本でも2020年4月7日に非常事態宣言が出されて1ヶ月間の外出自粛が促される事になりました。

そして、非常事態宣言によってテレワークも否応なく推進され、働き方も加速的に変化する事が確定しました。

今回は、このテレワークの推進による働き方の変化が、今後の企業活動にどの様な影響が出てくるのかを考えてみたいと思います。

■テレワークで働くと何が起こるのか?

テレワークで多くの人が働き出すと何が起こるのでしょうか?

営業部門のテレワークで問題点として出てくるのが、セキュリティとサボりの防止の2点です。

セキュリティはソフトウエアや意識の問題ですが、サボり防止の方は、今後の働き方に決定的な影響をもたらすとも言えます。

そもそも、なぜサボり防止が問題になるのかと言えば、テレワークでは会社へ出社する職場での勤務と違い、働きぶりが見えないからです。

見えないとどうなるのか?見える化という工夫が一方ではおこるものの、その工夫にかかる労力と費用を考えると早晩、見えるもの=結果で評価する方が効率的でローコストであるという流れに行き着きます。

つまり、頑張りという努力も評価するプロセス評価から、結果で判断する成果評価への移行です。

フリー写真 笑顔でガッツポーズするサラリーマン男性

■プロセス評価から成果評価への移行で起こる事

プロセス評価から成果評価への移行が進むと何が起こるのでしょうか?

結論から申し上げれば、隠れリストラ候補があぶり出される事になります。

会社にぶら下がって、働いているふりをしていた、特に成果を出せていなかった人、定年までの期間を考えて逃げ切りを考えていた人が見える化されて、白日の下に晒される事になります。

これからの会社員は、能動的な行動で成果を出す人のみが生き残れる時代になって来ます。そして、企業側から考えると、世の中の会社はみな効率化が徹底されますので結果、受注の為の競争は一層激しさを増すでしょう。

この変化は、企業側にとっても隠れリストラ候補をあぶりだすというメリットよりも、効率化を怠れば、生き残りは不可能なほど他社との差が開くという面が大きい、今までにない大きな転換期となります。

■成果評価への移行で起こる中小企業にとってのピンチとは?

成果評価への移行は企業にどの様な影響をもたらすでしょうか?成果主義の注意点と今やっておくべき事を整理してみたいと思います。

成果主義は出来る人材にとっては何の問題もない事です。つまり、人材に恵まれる大企業にとっては何の問題もない。むしろ余剰人員の整理のチャンスであり、その動きは早期退職の奨励という形で既に業績好調の企業で始まっています。

2019年3月期までに実施された製薬業界やカシオ計算機、キリンホールディングスといった大手企業の黒字リストラ断行がこの流れになります。

逆に人材に恵まれない中小企業にとってはこの流れはピンチにもなります。

やる気のない人材は論外としても、中小企業にはいわゆる出来る人材は多くはないからです。

ひとつは、この効率化の流れの中で有能にもかかわらず出世レースから外れるなどで大手からはあふれ出した有能な人材を確保する事。

そこで、2つの対処が中小企業では重要になって来ます。

もう一つは、実力がない人材でもやる気がある人への対処です。

特に人材を選べない中小企業にとっては、このやる気はあるが残念ながら現状は出来ない人材を、効率的に成果を上げる戦力へと仕立て上げる事が生き残りへの必須事項となります。

■テレワーク普及の加速で中小企業にやってくるチャンスとは?

逆に人材への対処が出来れば中小企業にとってチャンスの部分もあります。

テレワークの加速によって誰もが気がつく事があります。

・デジタル化の加速、発展

 →必要な人材、設備、資金はネットワークでつながる

  ※人材は、フリーランスなどスキルを持った人材が集めやすくなった。

  ※設備もクラウドやファブレス型が一般的になり必ずしも持つ必要がない。

  ※資金もクラウドファンディングなど多様化している。

・場所は関係ない(どこでも出来る)

 →首都圏でなくてもいい

  ※普段は在宅などでオフィスにいる必要がない=住みやすい場所への移住が進む。

・機動力がより重視される

 →瞬時に動きやすい体制が有利

  ※ネット社会のフットワークの軽さが、多くの企業で一般的に求められる展開。

つまり、今までは大企業しか得る事が出来ないが為に有利であった部分が、完全に変わり逆に瞬時に動きやすい体制など、中小企業が有利になってくる場面が出てきます。

■リアルでの接点を補足する為に必要なものは?

リアルでの接点が少なくなると、人はこれまで同様に企業という存在への所属を強く意識し続けられるのでしょうか?

これを補足する為に、これまでにも存在はしていたが本来業務に比較して重要視はされてこなかった、心の結びつき、共通の概念といった、いわゆる理念、社是、その企業の存在意義は企業という集団を保つ為に重要度が増してきそうです。

リアルでは自然に醸成されていた仲間意識、共通の目標、ベクトル合わせが難しくなる分、その重要性は逆に増していきます。

そして、その旗印に集まる人材、設備、資金は、案件によって最適なものが都度、集まっては解散していく。心ではつながっている緩やかなネットワーク集団になっていく事が予想されます。

そうすると、社員という概念は次第になくなり、ネットワーク集団とつながっている個人事業主がそれにとって代わる可能性が高くなります。

その様な大転換の時期に核となるのが、心の結びつきを起こす共通の気持ちとそれを表す言葉になります。今は理念というのが分かりやすく感じます。

その兆しは実は既に出てきていて、計測器大手のタニタではあえて社員に退職してもらい個人事業主として再契約しお互いにメリットを享受しています。この事例は、今後アフターコロナの世界へ生き残りを図る施策としてより拡がっていくと予想されます。

これは未来の話ではなく、すでに始まっていて新型コロナウイルスの影響で加速するテレワークという働き方によって、数年以内にやってくる現実でもあります。

この変化にいち早く対応した企業は、アフターコロナの世界でも生き残れます。逆に対応しない企業は消えていく可能性が高くなります。

まさに今、我々は歴史的転換点にいる事を後年、歴史家は指摘するに違いありません。

■これからの受注スタイルを考える

今までは受注のスタイルが大きく4つありました。

「自社がベースのスタイル」

・自分たちのパッケージ商品に合う顧客を見つける

・途中まではソリューションだが、最終的には自社商品を提示するビジネス

「顧客に寄りそうスタイル」

・御用聞き

・仮説志向で提言しながら最適解を提案するスタイル

デジタルの加速は、情報収集の加速をも生み出します。自社都合の自社がベースのスタイルでは今後、顧客と結びつくのは難しくなって来るでしょう。

情報収集が加速する世界では、顧客はある程度の最適解までは自分でたどり着きます。BtoCでの価格ドットコムなどはその表れです。

顧客はどんどん賢くなって取引先を厳しく選別していきます。御用聞きでは、得意先から声が掛かるまでは動きが取れず、なくなりはしないにしても需要は相当細くなります。

仮説志向で提言しながら最適解を提案する、顧客に寄りそうスタイルしか、もはや残りえない社会構造になってきています。

「働き方改革」の間違った解釈で、時短を推進するあまり受身の営業スタイルになっているなら大ピンチです。

「働き方改革」の本来の動きとゴールは、現状把握→業務仕分け→あるべき姿へのシフト→イノベーションです。

とにかく時短→業務選別という名の縮小→受身の営業スタイルでは、あるべき姿へのシフトもイノベーションも起きる事はありません。

■アフターコロナの世界を生き抜く為に

テレワーク普及の加速は単なる働き方の変化ではありません。世の中が変わるなら、企業、営業体制は変わらなければなりません。

要点は3つあります。

・営業戦略は、顧客にクライアントによりそう姿勢へ

・社員、取引先との結びつきを強める為の理念作成

・やる気はあるが、実力がまだない社員への行動改善の取り組み

それぞれの解決策は、下記になります。

・営業戦略は、顧客にクライアントによりそう姿勢へ

※筆者は「年間受注」というクライアントとのズレを解消して、よりそう営業手法を拙著「広告会社の期首に目標を達成する営業戦略」にまとめております。宜しければご参考ください。

・社員、取引先との結びつきを強める為の理念作成

 ※理念は経営者の想いが重要です。まずはご自分でお考えいただき、社員様との理念ミーティングを実施される中で決定、浸透されるのが良いかと思います。

 筆者は前職で理念変更、社名変更を社員として経験しておりますので、社員側の気持ちはとてもよく分かります。

・やる気はあるが、実力がまだない社員への行動改善の取り組み

 ※筆者は「15分スケジュール」「週間スケジュール」での行動改善を提唱しております。既に当社のコンサルティングにて、ご実践いただいている企業様もございますが、概要は拙ブログ「営業部門の改善を進める為に必要な2つの施策とは? 」にまとめております。宜しければご参考ください。

先が見えにくい今、このブログが企業経営者様にとって、次の一歩を踏み出す一助になれば、とてもうれしいです。最後までお読み頂きありがとうございました。

「営業改善」代表:黒田昭彦

これからの営業戦略に関して
筆者は「年間受注」というクライアントによりそう営業手法を、拙著「広告会社の期首に目標を達成する営業戦略」にまとめております。
法人営業の企業であれば、広告以外の企業様にもご参考になる内容です。これからの営業活動にお悩みの企業様は、ぜひご参考にしてください。
▶「広告会社の期首に目標を達成する営業戦略

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