【2022年7月26日改訂】
2022年度の最低賃金は昨年に続いて大きな引き上げになりそうで、最低賃金の上昇圧力の継続は経営者としては無視できない状況です。
最低賃金の上昇圧力に対応するには、生産性の向上が必要です。
その為には、現状把握(業務の見える化)を行いあるべき姿(理想の業務内容)へ業務の入れ替えが必要になって来ます。
言うは易し、行うは難しですが「業務の見える化」をカンタンに行う方法はあるのでしょうか?
労働時間の効率化(短縮)を実現する為に重要なポイントとなる、仕事を「見える化」して時間を効率的に再配置する手法に関して、今回はお伝えしたいと思います。
目次
■目標到達には、スタート地点(現状)を知る必要があるという自明の理
目標に到達する為には、スタート地点である現状を知る必要があります。
なぜなら現状と目標のギャップが分からなければ、ギャップを埋める為の行動(目標までの必要な行動)が分からないからです。
ところが、業務効率化、労働時間の短縮となると、なぜが現状を把握しないで目標だけが設定されたりします。
ダイエットで言えば「とにかく10キロやせる!」という感じでしょうか。
ダイエットでもレコーディングダイエットというものがあります。その日食べたものや飲んだものを記録して現状把握を行い食生活を改善して行くものです。
レコーディングダイエットは記録するだけですが、記録するという所に重要性があります。
業務効率化、労働時間の短縮に置き換えると、現状の業務を記録して今どの様な業務をしているかを把握、「見える化」するものです。
その手法の一つが「15分スケジュール」です。
■「15分スケジュール」とはどの様な手法か?
「15分スケジュール」とは、1時間刻みで予定を立てるバーチカル手帳の15分版で、1日の業務を15分単位でスケジューリング及び記録するツールです。
バーチカル手帳は1時間か30分刻みになっていますが、「15分スケジュール」は15分単位にしてより細かく自分の業務の予定と記録の2点を入力、チェックしていきます。
これにより電話やメールなどの細かな業務も含めて詳細に現状を把握できるだけでなく、スキマ時間の活用も促します。
例えば、1時間の予定の営業会議であれば15分を4コマ分で予定し、実際には1時間15分かかったとすれば、1時間15分の5コマ分を記録します。
15分単位だと細かく煩雑な印象を受けるかもしれませんが業務を処理する能力、つまり時間見積りが正確になり、予定通りに仕事が終わらないといったトラブルを未然に防ぎ、上司や同僚へのアラートも出しやすくなりますので、段取りも格段に向上します。
これを2週間~1ヶ月ほど続ければ現状どの様な業務内容で、どの仕事にどの程度時間を使っているかを知る事が出来ます。
現状の業務内容が分かれば目標(あるべき姿)とのギャップを確認する事で、業務仕分けによる仕事時間の効率的な再配置を行う事が可能となります。
■「15分スケジュール」で見えてくるもの
「15分スケジュール」の導入初期は、スケジュール作成とチェックに手間が掛かる為、負担を感じるかもしれません。
しかし、2週間もすれば慣れてきます。そして見えてくるものが、たくさん出てきます。
例えば、あるべき姿である業務の量(※営業であれば顧客との商談時間など)ですが、多くの場合かなり少なくて愕然とします。
営業マンであれば移動時間などを除いた、正味の商談時間が全業務時間の10~20%しかない事にショックを受けます。
あるべき姿にある中長期的に必要な行動の業務量も一目瞭然となります。
営業マンであれば新規開拓の動きなどです。
分かっているけど後回しになりがちな新規開拓の時間があまりにも少ない事が多くの企業様で可視化されます。
あるべき姿に含まれないが、現状はやってしまっている業務も明らかになります。
これは、伝票や社内資料の作成などの非付加価値業務ですが、縮小しているつもりでも掛かっている時間に対策が必要な事がハッキリして来ます。
営業マンの悩みやストレスは会議や報告業務、資料作成が多いものです。
思った以上の割合を占めている事や移動時間や探し物の多さに効率の悪さを実感する事も多いと思います。
「15分スケジュール」は慣れてくると優先順位が明確になる為、とても便利になり逆にないと不安になります。
なぜなら、「15分スケジュール」がない場合は、次の予定を都度考える必要が出ますので迷いが生じます。またその分、時間をロスするので時間効率も悪くなりますので、なくてはならないツールとなるのです。
■「15分スケジュール」のメリット
「15分スケジュール」のメリットは現状業務の「見える化」だけではありません。実践している人にだけ、たくさんの利点がついてきます。
【15分スケジュールのメリット】
・業務内容の見える化
・目標「あるべき姿」への時間の効率的な再配置
・TO-DOリストでは出来ない優先順位の明確化
・業務効率のアップ
・業務の時間見積りの明確化による段取りの向上
・スキマ時間の活用
「15分スケジュール」は導入初期に手間が掛かる為、やらず嫌いな人が多いのですが、多忙なビジネスマンにこそ有効なツールになります。
■「働き方改革」で注目される業務時間の見える化
「15分スケジュール」と同じ様な業務時間の見える化ツールはITツールにもあり最近、注目されてきています。
例えば、パナソニックの「しごとコンパス」。もともとは、パナソニックの社内ツールで、働き方を可視化する為に開発された様ですが現在は市販もされています。
「しごとコンパス」は、PCでどんな作業をしたのかを記録するのが主な機能な様ですが、大きな考え方は「15分スケジュール」と同じで、業務内容を詳細に記録して、その記録を元に業務内容を見える化するITツールです。
「15分スケジュール」と同じく何に時間がかかっているのか、どの仕事をやめて、どの様な仕事をすると時間効率が良いのかを分析可能と言われています。
要は、ITツールでも手動ツールでもどちらでも構わないのですが、何らかの形で現状業務を「見える化」する事が、労働時間の効率化(短縮)を実現していき、更には社員の方を「あるべき姿」へとシフトして行きます。
結果、賃金上昇への対応にもなりますし「働き方改革」を推し進める事になります。
御社でも、現状業務の「見える化」に取り組んでみませんか?
株式会社営業改善
代表取締役:黒田昭彦
オンライン相談
営業改善では「オンライン個別相談」を実施しております。
▶「お申し込み」
雑誌記事
雑誌「近代中小企業」に連載した 「見える化」の方法、テレワーク成功のポイントを公開しています。
▶「記事内容」
■本ブログの内容、営業改善へのお問い合わせ先 。