研修に関しては、自社の研修は満足度が高いのに肝心な売上という成果に結びつかないとお悩みの企業様も多いのではないでしょうか?
当たり前の話ですが、研修をすれば売上が上がる訳ではありません。研修後に研修の内容を実行、継続する事により売上という成果は上がります。
ある調査によれば研修の満足度が高くても(アンケートの満足度90~100%)、研修内容の実行率は10%しかないそうです。そして、実行した10%の方の継続率は更にその10%、つまり実行・継続を最後までやり抜く人は1%というデータがあります。これでは、100人研修を受けても1人にしか売上アップの成果が出ないということになります。
■なぜ研修内容は実行、継続されないのか?
多くの研修では研修の満足度をアンケートなどで追求しますが、研修の成果までは他のファクターもある事や時間もかかる為に十分には追いかけられていません。
これは、構造的な問題も含んでいて本質的な課題解決には時間も労力もかかる為、なかなか手がつけられていないという所でしょうか。
実際、改善には①「研修などでの教育」→ ②「行動」→ ③「継続、 PDCA(日々のマネジメントによる補完)」→ ④「成果(売上アップ)」という流れが必要ですが、最初の①「研修」で止まってしまっているのです。
これは営業の受注までのプロセスに置き直すと分かりやすいのですが、
例えば
①「見込み客の獲得」→ ②「商談(ヒアリング)」→ ③「商談(提案)」→ ④「価格交渉(見積りの提示など)」→ ⑤「クロージング」→ ⑥「受注」
という流れを考えてみると、「受注」に一番近い工程ほど、改善した場合には費用対効果が高くなります。
※受注に一番近いクロージング率が50%改善されれば、売上は2倍にもなりますが、見込み客の獲得が50%増加しても売上は2倍にはなりません。商談(ヒアリング)(提案)、価格交渉(見積りの提示など)で目減りして行くので、受注に近いクロージング率程のインパクトがないのです。
よって、最も費用対効果が出やすい改善事項は「受注」に一番近い⑤「 クロージング」になり、逆に最も費用対効果が出にくい工程は①「見込み客の獲得」になります。
同じ話で、営業行動の改善も「継続」、「実行」が重要になるのですが、取り組みやすいのは逆の順序になりますので、取り組みやすい①「研修などでの教育」から実施してしまっているのが実情なのだと思います。
■営業研修を効果的にして売上アップにつなげる方法
では、営業研修の実施は一体どうすれば良いのでしょうか?
結論から申し上げれば、①「研修などでの教育」→ ②「行動」→ ③「継続、 PDCA(日々のマネジメントによる補完)」→ ④「成果(売上アップ)」という改善の流れを予め設計して、①「研修などでの教育」で止まらず、②「行動」~③「継続」までがスムーズに流れる様にする事が重要です。
とは言え、この「行動」というフェーズが難しいのは冒頭でご紹介した調査結果での行動実施率10%が示す通りです。
なぜなら、研修で理屈は頭の中ですっかり理解したものの、いざ実践となるとどの様にしたら良いか分からないので行動が止まってしまうという事はよくあるからです。
また、行動が実施されたとしても行動の継続をサポートしていくには手間暇もかかります。
そして、多くの場合そのサポートは営業部門のマネジャー、しかも自分自身の業務も多忙なプレイングマネジャーが担っている場合が多く、サポートに関しては十分な時間が取りにくいというのも事実ではないでしょうか。
そこで、最近ではセールスイネーブルメント(営業活動において継続的に成果を挙げていくことを目的とした、営業組織の強化・改善の総括的な取り組み)という概念が注目されて、セールスイネーブルメントを推進する営業教育を担当する部門の必要性が言われ始めました。
■「行動」「継続」にスムーズにつなげる具体的な方法
セールスイネーブルメント(営業教育への取り組み)は圧倒的に正しい考えなのですが、人的資源に恵まれていない中小企業には余力がないのも事実です。
そこで、営業改善では「行動」「継続」を人的資源に余力がない中小企業でも取り組みがしやすい様に、2つの方策を提案しています。
1つ目は、「行動」という具体的な動きを起こしやすい様に「ツール」の使用を推奨しています。
例えば、新規開拓に関する営業研修後には、新規開拓に関する具体的な動きをスタートさせる為の「アプローチ先リスト表」のフォーマットを作成。「アプローチ先リスト表」のフォーマットにある項目に基づき空欄を埋めて、アプローチ先に関するキックオフミーティング(プロジェクトを行う際の最初の会議)を実施すれば新規開拓に関するスタートが切れます。
2つ目は、「継続」を実現する為の環境整備です。
研修を受ける側は圧倒的に非管理職であるメンバーが多く、継続をサポートするのは管理職であるチームリーダーが多いかと思いますが、チームリーダーはプレイングマネジャーであることも多く、サポートを充実させるには時間が足りません。
そこで、営業研修の内容を「行動」「継続」する側の営業メンバーの自習度合を高める為に営業プロセス(※受注までの各プロセスでのベストな行動指針)を明確にして、営業メンバー自身が営業の各プロセスでどの様な行動をとるべきかを予め把握できる様にしておきます。
そうすれば、多忙なチームリーダー(プレイングマネジャー)の負担は軽減され、教科書的な営業プロセスからは外れたイレギュラーな対応への指導・教育に集中できます。
この営業マニュアルとも言える営業プロセス(※受注までの各プロセスでのベストな行動指針)は、営業メンバーとチームリーダーにとって共通の行動指針となりますので、報告・連絡・相談の際にも軸が揃いやすくなり打合せ時間の効率化にもつながります。
受注までの各プロセスでのベストな行動指針は、営業の管理職であるチームリーダーの頭の中には経験値として貯まっているのですが、多くの企業では言語化されていない為、十分に活用されていない内的資源の代表選手でもあります。
それを取材により引き出せば、最初に取材・分析・マニュアル化(言語化)の時間はかかりますが、後の人材育成に大きな成果をもたらしてくれます。
以上の2点を準備すれば御社の営業研修は、行動率と継続率が高まり、大きな成果(売上アップ)につながって行くはずです。
営業研修は、研修後の満足度ではなく研修内容の「行動」と「継続」の仕組みを作る事が大変重要になります。それが御社の業績向上につながるからです。
ぜひ、研修内容の行動と継続の仕組み、行動を促す「ツール」作成と「営業プロセス」のマニュアル化を行って、明るい未来「業績向上」を手に入れてください!
「営業改善」代表:黒田昭彦
・営業研修のポイント
営業研修において重要な「実際に行動に移す」「研修の再現性」「行動の継続」の3点をご説明しています。
▶「営業研修3つのポイント」
・書籍
営業のノウハウを分かりやすくまとめました。
▶「20日間でマスター 数字が作れる営業研修」
■本ブログの内容、営業改善へのお問い合わせ先