新規開拓が進まない営業組織の3つの共通点|時間・強み・進捗管理の改善方法

「新規開拓を強化しようと方針を出しているのに、なかなか進まない」
「営業担当者は毎日忙しく働いているのに、新しい商談が増えない」
「新規開拓の目標を設定しても、結局、既存顧客への対応が優先されてしまう」

経営者や営業責任者の方から、このようなお悩みを伺います。

新規開拓が進まないと、営業担当者の行動力やモチベーションに原因があると考えてしまいがちです。

しかし、私は必ずしもそうではないと考えています。

新規開拓が進まない原因は、営業担当者個人の能力や意欲ではなく、営業組織の「仕事の進め方」にあることも多いからです。

今回は、新規開拓が進まない営業組織に共通する3つの課題と、その改善方法をご紹介します。

新規開拓が進まない営業組織の3つの共通点

1.新規開拓に使う時間が確保されていない

最も多いのが「時間がない」という問題です。

営業担当者は、既存顧客からの問い合わせ、見積書や提案書の作成、納期調整、社内会議など、多くの仕事を抱えています。

これらの仕事には、今日中、明日までといった期限があります。

一方、新規開拓は、今日アプローチしなくても、すぐに困るわけではありません。

その結果、緊急性の高い既存顧客への対応が優先され、新規開拓は後回しになります。

ここで重要なのは、「時間ができたら新規開拓をする」という考え方をやめることです。

まずは、営業担当者が普段どのような仕事に、どれだけ時間を使っているのかを把握します。

私は、仕事を「15分スケジュール」というツールで見える化しています。

例えば、1週間の仕事内容を整理すると、

  • 営業担当者でなくても対応できる事務作業
  • 必要以上に時間を使っている社内資料の作成
  • 訪問頻度を見直せる既存顧客への対応
  • 効率化できる移動や会議

などが見つかることがあります。

これらを見直し、新規開拓に使う時間を生み出します。

そして、確保した時間を、例えば「火曜日10時から30分は新規開拓先の調査」「木曜日15時から30分は新規顧客へのアプローチ」というように、先に予定へ組み込みます。

新規開拓を進めるためには、行動を増やす前に、その行動に使う時間を確保することが重要です。

2.自社の強みが整理されておらず、顧客に選ばれる理由がない

2つ目は、競合との差別化ができていないことです。

新規開拓先には、既に取引している会社があるケースが多くあります。

そこで、会社案内や商品紹介だけを行っても、顧客からすると「今の取引先を変更する理由がない」ということになります。

新規開拓では、顧客が現在の取引先ではなく、自社を選ぶ理由が必要です。

そのためには、次の3点を整理します。

  • 誰の課題を解決できるのか?
  • 自社にはどのような強みがあるのか?
  • 競合と比較して、どのような価値を提供できるのか?

例えば、あるメーカーが自社の強みを「品質が高いこと」だと考えていたとします。

しかし、品質が高い商品は競合にもあります。

そこで、既存顧客に「なぜ当社を選んでいただいているのですか?」と聞いてみます。

すると、「小ロットでも対応してくれる」「急な仕様変更にも柔軟に対応してくれる」といった評価が見つかるかもしれません。

この場合、単なる品質の高さではなく、小ロット生産や仕様変更に困っている企業にとって、頼りになる対応力が強みになります。

このように、顧客の課題と自社の強みを組み合わせることで、アプローチすべき企業や提案内容が明確になります。

大切なのは、自社が売りたい商品を紹介することではなく、顧客が自社に発注する理由をつくることです。

3.受注までの進捗が見えず、活動が継続しない

3つ目は、新規開拓の進捗管理です。

新規開拓は、既存顧客からの受注と比較して、成果が出るまでに時間がかかることがあります。

特に法人営業では、初回のアプローチから受注まで、顧客との関係構築、課題のヒアリング、提案、社内稟議など、さまざまな段階があります。

しかし、営業会議で「新規開拓の受注が何件あったか」という結果だけを確認していると、受注していない案件は、すべて成果がないように見えてしまいます。

そこでおすすめしたいのが、受注までのプロセスを分解し、マイルストーン(中間目標)を設定することです。

例えば、

  1. アプローチ先の選定
  2. 初回アプローチ
  3. 担当者との接点づくり
  4. 初回商談・課題のヒアリング
  5. 提案機会の獲得
  6. 見積り・提案
  7. 受注

と段階を設定します。

このように整理すると、まだ受注していなくても、顧客との関係がどこまで進んでいるのかが分かります。

また、「アポイントは取れているが、提案につながらない」といった営業プロセスの問題点も発見しやすくなります。

営業責任者は結果だけでなく、どの段階で止まっているのかを把握し、必要な支援をすることができます。

新規開拓を進めるための具体的な5つの改善手順

それでは、実際に何から始めればよいのでしょうか。

私は、次の順番で取り組むことをおすすめします。

STEP1.営業担当者の時間の使い方を見える化する

まず1週間、どの仕事に何分使っているのかを確認します。新規開拓のために時間を確保できる業務を探します。

STEP2.業務を仕分けして、新規開拓の時間をつくる

営業本人が行うべき業務、他の人に任せられる業務、削減・効率化できる業務に分けます。確保した時間は、具体的な新規開拓の予定にします。

STEP3.アプローチ先を絞り込む

過去の成功事例や既存顧客の特徴を分析し、自社の強みが役立つ可能性の高い企業を選定します。すべての企業に同じ方法でアプローチするのではなく、優先順位をつけます。

STEP4.顧客への提案内容を整理する

顧客が抱えていると考えられる課題と、自社が提供できる価値を整理します。会社案内だけではなく、顧客が興味を持てる情報や改善提案を用意します。

STEP5.週間スケジュールで行動と進捗を管理する

週に1回、上司と営業担当者で、翌週の新規開拓活動を確認します。

「どの企業に、いつ、何をするのか」「何が課題になっているのか」を共有し、必要な支援を行います。

ここで重要なのは、行動した結果だけでなく、行動する前の予定を確認することです。

【支援事例】営業時間の見える化で、新規開拓の時間を生み出した貿易会社

実際に、私が営業活動の改善をご支援した貿易会社の事例をご紹介します。

この会社では、営業担当者が日々の業務に追われ、新規開拓を十分に進められていないという課題がありました。

そこで、まず「15分スケジュール」を活用し、営業担当者が普段どのような仕事に時間を使っているのかを見える化しました。

すると、営業担当者がインボイスなどの貿易関連書類の作成に時間を使っていることが分かりました。

そこで、業務の役割分担を見直し、営業担当者が行っていた一部の事務作業を事務職の方へ移管しました。

さらに、空いた時間を新規開拓の活動に振り替えました。

また、「週間スケジュール」を導入し、営業担当者の予定と進捗を上司が確認する仕組みをつくりました。

これにより、営業担当者が新規開拓を継続しやすくなり、上司も行動前の段階で必要な支援をできるようになりました。

その結果、この会社は約半年後に黒字転換しました。

もちろん、黒字転換はこれらの取り組みだけによるものではなく、さまざまな要因が重なった結果です。

しかし、営業担当者の時間の使い方を見直し、新規開拓に取り組める環境を整えたことは、営業活動の改善につながりました。

この事例でお伝えしたいのは、新規開拓のために営業担当者を増やさなくても、今ある時間の使い方を見直すことで、新たな営業活動を生み出せる可能性があるということです。

新規開拓の改善を定着させるには、何を管理すればよいのか?

新規開拓を継続させるためには、受注件数だけではなく、日々の活動と進捗を確認することが大切です。

例えば、次のような項目です。

確認する項目確認したいこと
新規開拓の活動時間予定した時間を確保できているか
アプローチ件数計画した企業に接触できているか
初回商談件数新しい顧客との接点が生まれているか
提案機会の獲得件数顧客の課題を把握し、提案につなげられているか
商談の進捗状況どの段階で停滞しているか
受注件数・粗利益最終的な成果につながっているか

これらを毎日、細かく報告させる必要はありません。

週に1回、上司と営業担当者が「週間スケジュール」を確認しながら、進捗と翌週の予定を共有するだけでも、改善のきっかけになります。

特に、次の3つの質問が重要です。

  • 今週の新規開拓は、予定どおり進んだか?
  • 進まなかった場合、何が障害になったか?
  • 来週は、どの企業に、いつ、何をして、どんなゴールを目指すか?

こうした確認を習慣化することで、新規開拓を特別な活動ではなく、日常業務の一部として組み込んでいきます。

まとめ|新規開拓は、営業担当者の頑張りだけに頼らない

新規開拓が進まないとき、営業担当者に「もっと新規開拓を頑張ろう」と伝えるだけでは、なかなか状況は変わりません。

まずは、次の3つを確認してみてください。

1.時間:新規開拓に使う時間は確保できているか?

2.強み:顧客が自社を選ぶ理由は明確になっているか?

3.進捗:受注までの行動を分解して管理できているか?

この3つを見直すことで、新規開拓は営業担当者の意欲に左右される活動から、組織として継続的に取り組む活動へと変えていくことができます。

新規開拓の成果を上げるために必要なのは、単純に行動量を増やすことではありません。

成果につながる行動を明確にし、その行動を継続できる仕組みをつくることです。

まずは、自社の営業担当者が、新規開拓に1週間で何時間使っているのかを確認するところから始めてみませんか。

株式会社営業改善
代表取締役・営業コンサルタント
黒田昭彦


新規開拓が進まずお悩みの経営者・営業責任者の方へ

株式会社営業改善では、営業担当者の時間の使い方、営業プロセス、顧客への提案内容などを見える化し、新規開拓が進む仕組みづくりをご支援しています。

課題に合わせて、次のような支援が可能です。

営業コンサルティング

営業活動の現状分析から、重点顧客の選定、アプローチ方法の整理、行動計画の作成、進捗管理までをご支援します。

営業研修・タイムマネジメント研修

「15分スケジュール」「週間スケジュール」を活用し、新規開拓の時間確保や営業活動の計画・管理方法を実践的に学びます。

営業ツール制作

新規開拓先リスト、アプローチ資料、営業トークスクリプト、提案書など、営業担当者が行動しやすくなるツールの制作をご支援します。

「新規開拓を強化したいが、何から始めればよいか分からない」

「営業担当者が忙しく、新規開拓に取り組めていない」

「新規開拓の活動が継続する仕組みをつくりたい」

このようなお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

【営業改善の支援内容・資料】

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【書籍のご案内】

『15分スケジュール すぐに成果を出す人の時間術』

黒田昭彦 著/明日香出版社
2026年3月発売/税込1,760円/256ページ

1日を15分単位で捉え、
予定を見える化し、やるべきことを整理しながら、
成果と時短を両立するための考え方と実践法をまとめた1冊です。

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